よく、マグロは「バクチ」だという言葉を耳にしたことがあるかと思います。
バクチ【博打】意味は色々あるが、ここでいう「バクチ」とは「一か八かのまぐれ当たりをねらう行為」(広辞苑)で、マグロの場合も同様な意味合いです。
魚体検品時、関東はまず魚体全体をみて、そして尻尾と腹中を懐中電灯で照らし判断するが、関西では懐中電灯は持たず尻尾と魚体全体だけで判断する。それでは良い魚体とは
- いい身体つき、つまりきれいな流線型をしているか。
人間で例えるなら均整のとれた体ということになります。 - 手でまぐろの皮を触って弾力性があるかどうか。
弾力性がある方が良い。例えるなら女性の「もち肌」のような感じですかね・・・? - 腹を見る。腹の部分を手でつかみ厚いほど良い。また腹中はきれい(白っぽい)ほどよい。
- 尻尾を見る。切った断面が、年輪のようで、その年輪にピンクっぽい色が多いほど脂と脂層がある。 そして身質が冴えていて「ネチッ」とした方が良い。
とはわかっておりますが、毎回つくづく感じるのはセリ場でまぐろを下調べして購入する場合。
良品と確信して購入したものがよかった時はひとまず安心ですが、逆に悪かった時はショックですね。
また逆に中品と思っていたマグロが思わずよかった時の喜び、本当にさばいて見るまでわかりません。
マグロが『バクチ』といわれるゆえんがここにあります。
高価で買ったものが悪かった時は、損してまでも安価で売りさばかなければなりません。
通称『やけ』と呼ばれ、捕獲時に暴れ回り体温が40度になり身が焼けることで身に冴えがなく色もくすんだ状態で茶褐色に変色する。
この『やけ』も赤身部分だけなら、下のとろの部分(約6割)は使えるが、やっかいなのは赤身もトロも焼けている時、これは最悪。食べれないこともないが、水分が抜けて「スカスカ」で売り物になりません。売っても二束三文です。特に一本釣り、定置網で獲られたモノは比較的焼けていることが多いですね。
まぐろを乱暴に取り扱うことで、引き起こる可能性のある『身われ』(身がバラバラになったり、割れたりする)
特にマグロの下身の多くみられ、造りにも寿司ネタにも使えないので全く商品になりません。得意先に安価で販売するしかありません。
またある箇所だけ柔らかい『打ち身』(内出血)を起こしている場合もありますし、通常保存時にマグロ全身と腹中に氷を詰めますが、腹中辺りが氷が少ないと腹が『黒ずみ』を起こすこともしばしば。
まぐろは女性のように優しくしてあげないとだめなんですよね。 ホントに・・・!?