生本まぐろ季節の入荷状況 マグロいろいろ(産地別解説)

 

◆ 近海本まぐろ勝浦(和歌山)・ 油津/日南/川南(宮崎)

魚体 150kg 〜 250kg 漁法 延縄 入荷時期 4月〜6月

近海本まぐろ勝浦(和歌山) ・ 油津(宮崎)

2月〜3月の近海物の極端に少ない上物の寿司屋を悩ませる時季を過ぎれば、ようやくば4月上旬に大型の宮崎産が初入荷します。宮崎に出現したマグロは5月頃に紀伊半島にたどり着き、勝浦産が入荷します。

宮崎産は身質は”かっちり”としていますがどちらかと言えば脂は比較的うすいですが、待ちに待った大型ということで期待に胸を弾ませます。

そして宮崎産より相対的にまだ脂がのった勝浦産ですが、漁は1ヶ月で終了します。 両マグロとも旨みの点ではどうしても晩秋のマグロには劣ります。

なぜなら晩秋のマグロは餌としてイカ、サバを主食にしているが、宮崎、勝浦は脂のないアジ、トビウオ、カツオを主食としている。これは春のマグロとしては仕方ないでしょう。

   

◆ 近海本まぐろ境港(鳥取)

魚体 40kg 〜 180kg 漁法 巻網 入荷時期 5月〜7月

近海本まぐろ境港(鳥取)

夏場に日本海でで捕獲されるマグロです。ただ、まき網漁法のため大量に捕獲され、血抜きをしないで水揚げするので、魚へのショックが大きいため「血栓」や「やけ」も多く、色変わりも鮮度の劣化も早いです。早ければさばいた次の日、良質なマグロでも2日というところでしょうか。

食のイメージとしては魚の”よこわ”や”ひっさげ”を大きくした口当たりです。酸味があり、赤身はあまり味が無くさっぱり、中トロはあっさりめ、大トロも魚体が比較的小ぶりのため、大トロもあっさりめですが、 少し脂がほしいというのならこの大トロ(腹のカミ)がベスト、寿司で握るなら同じく”腹のカミ”でしょう。

◆ 近海本まぐろ大船渡(岩手)・気仙沼(宮城)

魚体 150kg 〜 250kg 漁法 定置網 入荷時期 5月〜7月

近海本まぐろ大船渡・気仙沼(岩手)

“まき網漁法”と違い“定置網漁法”のため身質は小型のマグロの割にはしっかりしています。同じ魚体の境港のマグロよりは身質も脂もいいですね。
近海物と言う事で、旨みがあり美味しいすが、どちらかと言うと、お造りで厚めに切って食するのがベストではないでしょうか。食のイメージとしては魚の“よこわ”や“ひっさげ”をイメージして頂ければよいと思います。
寿司で握るならやはり“腹のカミ”でしょう。そこそこ脂のないマグロでも”腹のカミ”は近海物の場合、冷凍のマグロと違い脂はのっています。

◆ 近海本まぐろ三陸(塩釜)

魚体 40kg 〜 180kg 漁法 巻網 入荷時期 4月〜9月

近海本まぐろ三陸(塩釜)

イメージとしては魚の”よこわ”や”ひっさげ”を大きくした口当たりです。酸味があり、赤身はあまり味が無くさっぱり、中トロはあっさりめ、大トロも魚体が比較的小ぶりのため、大トロもあっさりめですが、 少し脂がほしいというのならこの大トロ(腹のカミ)がベスト、寿司で握るなら同じく”腹のカミ”でしょう。

ただ、まき網漁法のため大量に捕獲され、血抜きをしないで水揚げするので、魚へのショックが大きいため「血栓」や「やけ」も多く、色変わりも鮮度の劣化も早い。

早ければさばいた次の日、良質なマグロでも3〜4日というところでしょうか。だいたい100kgまでの魚体のマグロは身質も比較的柔らかく、それ以上になると身質はしっかりして脂も強くなってきます。

◆ 近海本まぐろ大間(青森)

魚体 40kg 〜 180kg 漁法 一本釣り・延縄  入荷時期 9月〜12月

近海本まぐろ大間(青森)

世間で騒がれているマグロです。漁法が一本釣りと言う事で“やけ”も多いですが、脂のノリと質ともに最高の部類にはいります。

まさしくとろけるように見えるけれど、しかしそんなに強いと感じないじわっと口に広がる上品な甘みと渋みのある大トロ、舌にねっとりからみつき、あと口のいいほのかな旨みがある赤身。とにかく大とろも中とろも赤身も「あまみ」があり「美味しい」と言うことです。

◆ 近海本まぐろ戸井(北海道)

魚体 100kg 〜 230kg 漁法 延縄 入荷時期 8月〜10月

近海本まぐろ戸井(北海道)

最近「大間産」と人気を二分するマグロです。マグロの処置が迅速なので、身質が非常によく、色変わりしないのでお寿司屋さんに人気があります。

まさしくとろけるように見えるけれど、しかしそんなに強いと感じない“じわっと”口に広がる上品な甘みと渋みのある大トロ、
舌にねっとりからみつき、あと口のいいほのかな旨みがある赤身。とにかく大とろも中とろも赤身も「あまみ」があり「美味しい」と言うことです。

◆ 近海本まぐろ松前・噴火湾(北海道)

魚体 100kg 〜 200kg 漁法 一本釣り・定置網  入荷時期 9月〜12月

近海本まぐろ松前・噴火湾(北海道)

「大間産」「戸井産」と双璧のマグロです。まさしくとろけるように見えるけれど、しかしそんなに強いと感じない“じわっと”口に広がる上品な甘みと渋みのある大トロ、舌にねっとりからみつき、あと口のいいほのかな旨みがある赤身。とにかく大とろも中とろも赤身も「あまみ」があり「美味しい」と言うことです。

◆ 本まぐろ・天然(台湾)

魚体 100kg 〜 200kg 漁法 延縄 入荷時期 3月〜5月

台湾のマグロ漁は1960年から本格化し、日本人の胃袋を満たすために日本の水産会社や商社が支援し日本への太いパイプが出来上がっていました。産卵期のバジー海峡から台湾東部沖を回遊する3月〜5月に2005年までは約8割は日本へ輸出されていたが、最近ではマグロ食ブームが広がり、現在は9割以上が自国でまかなっている現状で台湾の漁港である東港、高雄に水揚げされる。一大消費地に変貌しつつある。

昔は台湾人はトロを食べなかったが、今は「TORO(トロ)」として高値で売れる。その一方で乱獲などをめぐり、最近では国際摩擦も引き起こしている。この時期勝浦産のマグロと入荷が重なります。相対的に身質はしっかりしていますが、脂の抜けたマグロが多いです。

◆ 本まぐろ・天然(ボストン・カナダ)

魚体 150kg 〜 300kg 漁法 一本釣り  入荷時期 6月〜11月

ジャンボジェット機で氷詰めの生の状態で空輸されるところから通称「ジャンボマグロ」とも呼び、ある程度入荷は安定しています。近海物より若干大味ですが近海ものに次いで良いマグロと評価されています。
お味は上質のトロを噛むと脂肪のばりばりした歯ごたえがし、ややしてから、濃厚な肉汁が口に広がります。

◆ 本まぐろ・天然(スペイン)

魚体 150kg 〜 300kg 漁法 定置と延縄 入荷時期 5月〜7月

4月頃から水揚げがありますが、入荷はスペイン蓄養シーズン終了とともに入れ替わりで入荷します。全体的に脂はうすいですが、夏場の近海物の入荷の少ない時期には、魚体も大きく、まだ脂がのっているということで近海の巻網マグロより高値もだすこともあり、重宝されます。

◆ ミナミまぐろ・天然(ニュージーランド)

魚体 80kg 〜 150kg 漁法 延縄 入荷時期 5月〜7月

冷凍モノもミナミまぐろに比べて腹は薄く、脂の薄いモノも多いですが、中には上質なモノもあります。身質はねっとりとして濃い味わいがあり、寿司ネタなんかにピッタリのマグロです。夏場の近海マグロの入荷の少ない時期には、まだ脂がのっているということで近海の巻網マグロより高値もだすこともあり、特に重宝されます。

◆ ミナミまぐろ・蓄養(オーストラリア)

魚体 30kg 〜 60kg 漁法 生け簀→刺し網式 入荷時期 3月上旬〜9月中旬

1991年に始まり、オーストラリアのポートリンカーンが主力の産地。世界で初めて蓄養事業が始まったのがこの場所で、ここの技術が全世界に広がり現在の蓄養事業の発展に寄与しています。
インド洋で生まれたミナミマグロは海流に乗ってポートリンカーン沖を通る。1月下旬〜2月下旬までに20〜30kのマグロを捕獲、網いけすで4〜5か月間、餌(イワシ・イカ)を与えて脂をのせたもの、半年の蓄養で魚体は3〜4割ほど大きくなり生け簀からの捕獲はダイバーが1尾ずつ素手で引き上げますので魚体の損傷も少なく、ここ数年で身も味も評価され需要が増え定着しました。蓄養の部類の中では、脂のノリや色は薄いですが、回転すし、居酒屋のチェーン店などでよく使用されています。最近は安全対策のためにトレーサビリティ(生産履歴)エサや飼育された生け簀などの情報を明記し始めた。

◆ 本まぐろ ・蓄養(スペイン)

魚体 150kg 〜 300kg 漁法 定置網→生け簀 入荷時期 9月上旬〜5月中旬

1996年に事業始まり本マグロ蓄養では最大の規模を誇ると伴に養殖マグロの中では特に人気があります。
カルタヘナが主産地で入荷は安定しており、赤身も脂がほどよくのっており、より天然に近づけために、生け簀での放流期間を短縮するなどして日々品質向上に努めておりその成果が現れています。

大西洋の西岸をノルウェーまで北上した黒マグロは、冬になると南下し4〜6月ごろに大群でスペインとモロッコの間のジブラルタル海峡を通って地中海に姿を見せます。それは産卵のためで、それが終わればまた大西洋に出るためジブラルタル海峡を通ります。ここで待ち構えているのが定置網で、これで捕獲し従来は缶詰の原料だったのを近くに設置している巨大な生け簀に入れて蓄養するのです。産卵後のやせたまぐろも、近海でとれた新鮮なイカ、サバなどを食べて丸々と太り、早ければ9月中旬頃より日本へ出荷されます。生け簀の水揚げから48時間後には成田空港に到着するほど輸送ルートは確立されています。 

◆ 本まぐろ・養殖(鹿児島/奄美大島)

魚体 30kg 〜 60kg 漁法 延縄→生け簀 入荷時期 9月上旬〜5月中旬

温暖な気候に加え水温も一年を通じて安定、そして入り組んだ湾も多く国内最大の産地です。温かい海はマグロの新陳代謝を施し、よく育ちます。年1000t以上生産し、魚体の主体は40〜70kg前後の4〜5年ものです。餌を15k与えると1kg太るといわれています。「育てる漁業」といわれて数十年。「21世紀型のまぐろ」と形容されて、南西諸島や海外で、日本水産業界の息がかかった黒まぐろの養殖や蓄養が進められている。網いけすで、曳き釣りで獲った200gほどの若魚を供給してもらい種苗(しゅびょう)として生産するようになりました。魚体が小ぶりで身にスジが少なく、そして柔らかく食べやすいですが全身がトロという感じです。さばいていると包丁やまな板なども脂だらけになりますが、年々改良されて品質もかなりよくなっています。

◆ 本まぐろ・養殖(和歌山/串本)

魚体 30kg 〜 200kg 漁法 生け簀 入荷時期 オールシーズン

入荷は安定しています。魚体は結構バラつきがあり40〜200kg前後のモノもあります。もともと鯛、ヒラメ、カンパチ、シマアジの養殖を手掛け、その技術力は評価されていた和歌山白浜で研究を続ける近畿大学水産研究所が、昭和54年に生け簀でマグロの産卵に成功し、平成14年6月に幼魚が人口孵化から育ちやがて成魚となって産んだ卵を再び孵化させることに世界で初めて成功した完全養殖を実現しました。

ベンチャー企業としてアーマリン近大が、販売を手掛け入荷時期を調整しながらほぼオールーシーズン対応しております。平成16年関西の百貨店に初出荷。平成17年9月には日本橋三越本店で週一匹のペースで販売されています。首都圏でもマグロを販売促進することで大学の名前が浸透するとともに、生産履歴を公開することで安心、安全を売り物にしています。

魚体が小ぶりで身にスジが少なく、そして柔らかく食べやすいですが全身がトロという感じです。さばいていると包丁やまな板なども脂だらけになりますが、改良を加えて年々品質もよくなっております。

◆ 本まぐろ・蓄養(メキシコ)

魚体 30kg 〜 60kg 漁法 巻網→生け簀→刺し網式 入荷時期 10月上旬〜3月中旬

バハカリフォルニア半島にあるエンセナーダが主な産地。メキシコ沿岸で6月〜8月に巻網で捕獲され、生け簀に移されたマグロは、エンセナーダまで約2週間かけて曳航されます。この海域は海水温が低いため比較的身質はよく蓄養の中では色変わりしにくく良品では4〜5日色持ちします。

餌も冷凍の餌ではなくこの海域は生のイワシが水揚げされるのでそれを給餌しています。中には腹の厚さに惚れ惚れするするモノもあり、これも日本近海で育ったマグロの一部が太平洋を横断 してやってきているという裏付けにもなると思います。

生け簀からの捕獲はオーストラリアと同じくダイバーが1尾ずつ手に抱えて引き上げますので、マグロ本体の損傷も少ないです。まだ歴史は浅いですが、ロサンゼルスまでの陸路の便もよいので年々取扱高は増加の傾向にありましたが、2009年以降あたりから、魚体も20k前後と小さく採算ベースがあわないのか?日本人による現地指導もなくなり、漁獲高は減少傾向にあります。

◆ 本まぐろ ・蓄養(マルタ)

魚体 150kg 〜 300kg 漁法 巻網→生け簀 入荷時期 9月上旬〜5月中旬

地中海のほど中央イタリア・シシリー島の南側に位置する人口38万人の小さな島国です。マルタの場合大型のマグロが多く漁場が比較的近いので捕獲後、すぐに生け簀に移すことが可能です。
そのため比較的身質もよく、またマグロの色具合をよくするためにエビを与えるなどして餌にも工夫をこらし、さらに生け簀から1尾ずつ取り上げているので品質を保持し、またスペイン同様より天然に近づけために、生け簀での放流期間を短縮するなどして日々品質向上に努めておりその成果が現れています。

蓄養マグロと養殖マグロの違い

Copyright (C) 2001-2010 UOMAEU SHOUTEN Co.,Ltd. All Rights Reserved.